2007-01-01から1年間の記事一覧

言葉日記

【きがあう】 家の庭に「気が合う」が生えた そういうこともあるんだなあ 生まれたものは 育てなければならない 私は100円ショップに ゾウさんじょうろを買いにいく ミドリにしようか ピンクにしようか悩む 両方買ったって たかだか200円なのだけれど…

救いについて(総武線にて)

JR総武線は今日も素敵な形で走っていて 俺は運転席と客席を隔てる壁に もたれかかる感じで車内を眺めている 隣ではカップルが終始くだらない話しをしているのだが ふと見てみれば 女の方はこの世の終わりのような顔をしている 俺は急にいたたまれない気持…

QBOOKSタイマンバトルより

やさしい人

高い所から見下ろした街には やさしさ みたいな光が たくさん走っている その一つひとつが ゆっくりと目蓋を撫でて 今日の寒さを忘れさせてくれる どうしてだろう 遠く離れてみた方が 温もりを感じることができるのは じっと見つめていると あたりまえのよう…

長かったリハビリも、ようやく終われるかもしれない。

遠足

空っぽのお弁当箱のなかでは 今まさに 恐ろしい怪物が 成長している最中である という事実を知らないまま 男の子も女の子も 小さな肩に リュックサックを食い込ませ 重たい足取りで 夕暮れの家路をたどります

親戚の欠片

「遠い親戚です」と呟きながら 脂ののった秋刀魚を食べる 身を骨から器用に削いで 大根おろしをちょんと乗せて 神経質に醤油を垂らして 「遠い親戚です」と呟きながら 秋刀魚の塩焼きを食べている 「どんな時も感謝の気持ちを忘れるな」 という今は亡き叔父…

最近、ゴルびたっているわけで・・・今回もタイトルはたもつさん。

9月にたなびく

かつてアームストロング船長の物真似で 一世を風靡した男が アリゾナ州のみすぼらしい農場で死んだ ひとりの人間にとっては大きな死だが 人類にとってはとても小さな死だった 地球が青いのかどうかさえ 自らの目で確かめることもできない そんなたくさんの人…

またまたゴルから。今回のお題はなかほどさん。

水色について

* 澄んでいく記憶の端から 水色の汽車が走り出します ため息や欠伸といった 水によく似たものたちを 揺れる貨車に詰め込んで 透きとおる空の下 滑らかなレールの上 どこまでも どこまでも 水色の汽車は走っていきます 悲しくないときでも 涙は流れるようで…

群青の森から 逃げてきたものたちを ひとつずつ捕まえる 白くやわらかい部分に サインペンで名前を書き込み (神聖なものはすべてKではじまる) ありふれた雑踏の中へと 放り投げていく グラスのふちでは たくさんの人々が あやふやになっている 夜に怯えて…

生贄

あるいは、青春とは生贄のようなもの だったのかもしれない 私たちが、終わりの終わりまで 上手に歩いていくために捧げた 血なまぐさい生贄 それが美しいものだったなんて嘘を 眉一つ動かさずにつけるようになるころ 人々は互いに良く似た顔をしている 私の…

ベゴニアの鉢

窓辺に置いていた ベゴニアの鉢から ベゴニアが生えてきたので 窓の外へ投げ捨てた こうあって欲しいと望んだことが そうなってしまった悲しみ 小さな風がカーテンを揺らす 窓辺が少し寂しい その寂しさに気が付かず 生きてきたわけでもない 割れた植木鉢の…

のまど

いくつもの停留場が いっせいに 羽を広げ 南の方へ渡って行った 停まるべき場所を 失ったバスは 大人たちの口から口へと 走り続けている 高層ビルが突き刺さった 地平線の向こう側 人々はもう 何処にも行けない 気の早いタンポポが 春を待たずに 綿毛を飛ば…

現代詩フォーラムに投稿した詩を、六十個ほど削除した。 ここ一年くらいの物はデータすら残してないので、 もう読み返すこともできない。が、別に問題ない。 (あ、よくよく考えたら、このブログに残ってるわ) 最近、まったく詩が書けない。 いや、書いてい…

考察

〈海辺にて〉 水平線に帽子を被せている人を見た 世界と対等に向き合うということは それほど 難しいことではないのかもしれない 子供たちに蹴飛ばされた波が 海の向こうで 砂浜に描かれた絵を消している (あるいは誰かを暗い海の底へと) 傷つけることでし…

偽物ロケット

月刊ムーの編集局に仕掛けた地雷が 良い按配で爆発したよ 分かるとは 不感症になることに似ている 15の時はマンフレッド・マンで反射的にイケた 今の俺の反射神経じゃ 月面すらも行けやしない ジョン・アビヴィーングさん あんたが悪戯に動物園の熊を逃がし…

考察〈駐車場にて〉

霊安室には 色とりどりの車が安置されている 存在とは形ではなく 温度で定義されるものらしい すでに どんな夏の思い出も 語ることのない麦わら帽子の穴に 誰かがキーを差し込む ギアをバックに入れたまま 一人またひとりと この場所から去っていく 存在を失…

負けたけど、 前を向く。

四つ葉のクローバーの種

近所のホームセンターで、 “四つ葉のクローバーの種” という商品を見つけたきみは、 ひどくがっかりしていた。 忙しなく暮れる日々の中で 小さな幸せを与えてくれるものは、 何処にでもありふれている、 ごくごくつまらないものだったのだ。 けれど、本当に…

考察〈野原にて〉

遠い山の向こうへと繋がる 七色の虹を その人は背負っていた 重くないですか と尋ねると 彼はすこし微笑んでから 紺色を私に手渡し 故郷の虹は六色でした と寂しそうに呟いた 空っぽでいっぱいの野原の上を 風が吹き抜けていく 有ることも、無いことも 大し…

掘北真希(?)が、怖い。

今日、産まれたきみへ

きみは激しく泣いていた 初めて背負う肉体の重さと、 もう止まることのない時間の速さに怯えて 予想もしていなかった祝福と、 手荒い歓迎の痛みに驚いて きみは激しく泣きながら産まれてきた そんなきみも やがて 今日をしっかり忘れるだろう その涙が乾いた…

従兄弟の子供が産まれた。 という連絡を、昨日の夜もらった。 わーい、わーい。 あれ、でもあの人いつ結婚したんだろう?? まあ、いいや。 そんなわけで、昔はこんな詩ばっかり書いていたなぁと、 ちょっと懐かしい文体を掴んで祝福。

シーソー

公園にはシーソーがありました シーソーの右側には子供たちが乗っています シーソーの左側には神様が一人乗っています 神様はとても重たいので 子供たちは百人 シーソーは誇らしげに吊り合っていますある日 もう一人の神様がやってきて シーソーの左側に飛び…

久しぶりに車に乗ろうとしたら、エンジンがかからなかった。 モーターの回っている音がするから、 バッテリーではなく、スターターが壊れたのだろう。 最近はあまり乗る時間もないし、お金もかかるので、 そろそろ廃車にしようと思っていたのだが・・・。 い…

考察〈会社にて〉

同期の桜が散ったから、夏 些細な変化は時計によく似ている 受付の女の子は 朝からずっと 体温計を口に加えたまま お客さまの顔を忘れ続けている (ところで、その娘の名前が思い出せない) 喫煙所で 部長が吐いたため息を 課長が吸い込むと 僕の口からため…

考察〈理科室にて〉

先生をビーカーに入れて 塩酸で溶かすと 同じだけの虚しさが 胸の中に生まれた 誰かが 質量保存の法則だ、と叫び それはたぶん正しいことだった その日 トスカーナ州の子供たちは ピサの斜塔を蹴り倒し てんで間違っている、と叫んだ それもまた 正しいこと…

詩の隅から隅まで、 素晴らしく言葉で埋め尽くす詩人は、 けっこう多い。 その中には、かなり上手い人もいる。 僕には、そんな書き方はできませんと、 いつも言っているが本音を言えば、 出来ないこともないと思う。 これでも一応、文章で飯を食っている。 …