2007-09-26 親戚の欠片 「遠い親戚です」と呟きながら 脂ののった秋刀魚を食べる 身を骨から器用に削いで 大根おろしをちょんと乗せて 神経質に醤油を垂らして 「遠い親戚です」と呟きながら 秋刀魚の塩焼きを食べている 「どんな時も感謝の気持ちを忘れるな」 という今は亡き叔父の厳しい声が 遙か遠い日の港町から聞こえてくる 「遠い親戚です」そう呟くたびに 溢れてくる涙の中を 骨の秋刀魚は泳いでいくが いつかの海にはたどり着けない