親戚の欠片

「遠い親戚です」と呟きながら
脂ののった秋刀魚を食べる
身を骨から器用に削いで
大根おろしをちょんと乗せて
神経質に醤油を垂らして
「遠い親戚です」と呟きながら
秋刀魚の塩焼きを食べている


「どんな時も感謝の気持ちを忘れるな」
という今は亡き叔父の厳しい声が
遙か遠い日の港町から聞こえてくる
「遠い親戚です」そう呟くたびに
溢れてくる涙の中を
骨の秋刀魚は泳いでいくが
いつかの海にはたどり着けない