のまど

いくつもの停留場が
いっせいに
羽を広げ
南の方へ渡って行った
停まるべき場所を
失ったバスは
大人たちの口から口へと
走り続けている
高層ビルが突き刺さった
地平線の向こう側
人々はもう
何処にも行けない
気の早いタンポポ
春を待たずに
綿毛を飛ばす
少年が新しい角度へと
旅立っていく