9月にたなびく

かつてアームストロング船長の物真似で
一世を風靡した男が
アリゾナ州のみすぼらしい農場で死んだ
ひとりの人間にとっては大きな死だが
人類にとってはとても小さな死だった
地球が青いのかどうかさえ
自らの目で確かめることもできない
そんなたくさんの人達がそれでも
いくつかの幸せと呼べる時間を抱えて
記憶の隅へゆっくりと還っていく
何処までも続いていそうな九月の空の下
かつてアームストロング船長の物真似で
一世を風位した男の墓に立てられた
星条旗が地球の風に吹かれている